「資産5,000万円まで貯めれば、もうFIREしても大丈夫?」
FIREを目指して資産形成をしていると、5,000万円は一つの大きな節目に感じます。
実際、5,000万円の4%は年間200万円です。
年間200万円程度で生活できるなら、4%ルールの単純計算では一つの目安になります。
しかし、50歳で夫婦そろって完全FIREし、年間300万円を使う場合はどうでしょうか。
今回は、当サイトで公開している「FIRE後の資産推移・取り崩しシミュレーター」を使い、
・本人50歳
・配偶者48歳
・金融資産5,000万円
・年間生活費300万円
・完全FIRE
・65歳から公的年金
というモデルケースを実際に計算してみます。
結論からいうと、今回の条件では「5,000万円あるから大丈夫」とはなりませんでした。
5,000万円の4%は年間200万円
まずは4%ルールで単純計算してみます。
5,000万円 × 4% = 200万円
月額にすると約16万7,000円です。
今回のモデルケースの年間生活費は300万円なので、
300万円 ÷ 5,000万円 = 6%
となります。
つまりFIRE開始時点では、資産に対して年間6%相当を使う生活です。

ただし、これは「毎年ずっと6%を取り崩す」という意味ではありません。
65歳以降は公的年金が加わるため、資産から必要になる金額は変わります。
だからこそ「5,000万円×4%」だけではなく、生涯の資産推移を見る必要があります。
今回のシミュレーション条件
今回使用したのは、当サイトの「30秒かんたん設定」を出発点としたモデルケースです。
主な条件は次のとおりです。
・FIRE開始年齢:本人50歳
・配偶者:48歳
・子ども:なし
・金融資産:5,000万円
・年間支出:300万円
・FIRE後の働き方:完全FIRE
・現金:約1,250万円
・海外株式:約3,000万円
・国内株式:約750万円
・公的年金:本人65歳から年200万円
・公的年金:配偶者65歳から年90万円
・想定寿命:本人・配偶者とも95歳

また、このモデルでは株式暴落について、原則として10年ごとに30%下落、2年停滞、3年回復という共通条件を使っています。
暴落中・回復途中は通常支出を平常時の80%に抑える設定です。
なお、これは「この条件がおすすめ」という意味ではありません。
あくまで5,000万円という資産額を具体的に考えるためのモデルケースです。
実際にFIREを検討する場合は、自分自身の年金額、支出、資産配分、住宅費などへ変更してください。
結果:年間300万円では67歳9ヶ月で資金不足
今回の条件で計算した結果は、
資産の枯渇:67歳9ヶ月目
となりました。
最終総資産の表示は約マイナス3,236万円です。

今回のモデルでは、50歳から65歳までの15年間、公的年金がまだありません。
この期間に年間300万円の生活費などを資産から賄うことになります。
65歳になると本人の年金が始まり、その後、配偶者の年金も加わります。
それでも、年金開始までに資産を取り崩す影響や、その後の支出・市場変動を含めると、95歳まで資産を維持できませんでした。
つまり今回の条件では、
「5,000万円あれば50歳で完全FIREできる」
とは言えない結果です。
年間支出を250万円へ下げるとどうなる?
次に、他の主な条件をそのままにして、年間生活費だけを
300万円 → 250万円
へ変更してみました。
結果は、
年間300万円:67歳9ヶ月で資産枯渇
年間250万円:87歳11ヶ月で資産枯渇
となりました。

年間50万円の違いですが、長期間積み重なるため、資金不足になる時期が約20年後ろへ移動しています。
これはFIREで支出管理が非常に重要であることを示す分かりやすい例です。
ただし、年間250万円まで下げても、今回のモデルでは95歳まで完全に持つ結果にはなっていません。
「あと50万円下げれば必ず大丈夫」という意味でもありません。
FIRE開始年齢、年金、資産配分、運用条件なども一緒に確認する必要があります。
50歳FIREで重要なのは「65歳までの15年間」
50歳でFIREすると、原則65歳からの公的年金開始まで15年間あります。
今回のモデルでは、
50~64歳:年金なし
65歳以降:公的年金あり
という大きな変化があります。

「65歳になれば年金が入るから大丈夫」と考えたくなりますが、本当に重要なのは、
65歳までに資産をどこまで減らしてしまうか
です。
FIRE開始直後から生活費のために資産売却が続き、さらに株価下落が重なれば、年金開始時点で残っている資産が想定以上に少なくなる可能性があります。
50代FIREでは「年金がいくらもらえるか」だけでなく、「年金まで何年間つなぐ必要があるか」を確認する必要があります。
資産5,000万円なら年間いくらまで使える?
4%ルールだけなら年間200万円です。
しかし、日本のFIREでは公的年金があるため、
「年間200万円を超えたら即アウト」
という単純な話ではありません。
逆に、
「年金があるから年間300万円でも大丈夫」
とも限りません。
今回のシミュレーションでは年間300万円で67歳9ヶ月、年間250万円でも87歳11ヶ月に資金不足となりました。
したがって5,000万円でFIREを考える場合は、
・FIRE開始年齢
・年間生活費
・公的年金額
・FIRE後の収入
・資産配分
・株価暴落
・住宅費
・家族構成
・想定寿命
などを一緒に確認する必要があります。
5,000万円でFIREを近づける方法
今回の結果が厳しかったからといって、
「5,000万円ではFIREできない」
と一律に考える必要はありません。
条件を変えれば結果も変わります。
主な調整方法は次の5つです。
1. 年間生活費を下げる
今回のモデルでも、年間300万円から250万円へ下げただけで、資金不足になる時期が約20年後ろへ移動しました。
支出削減は毎年繰り返し効果が出るため、長期FIREでは影響が非常に大きくなります。
2. FIRE開始年齢を遅らせる
働く期間を延ばせば、
・FIREまでに資産を増やせる
・資産を取り崩す期間が短くなる
・年金開始までの空白期間が短くなる
という複数の効果があります。
3. FIRE後も少し収入を得る
完全FIREではなく、Side FIREやBarista FIREという選択肢もあります。
年間100万円でも収入があれば、その分だけ資産売却を抑えられる可能性があります。
4. 自分の年金額を正確に確認する
年金額は人によって大きく違います。
「一般的な年金額」を使うのではなく、ねんきん定期便やねんきんネットなどで自分自身の見込み額を確認することが重要です。
5. 暴落しても続けられるか確認する
FIRE直後の大きな株価下落は、長期の取り崩しに大きな影響を与える場合があります。
平均利回りだけで判断せず、厳しいケースも確認しておきたいところです。

「5,000万円あるか」より「5,000万円で自分の生活が何年続くか」
今回のシミュレーションから一番伝えたいのは、
5,000万円という資産額そのものをFIREの合格ラインにしない
ということです。
同じ5,000万円でも、
50歳・年間300万円・完全FIRE
と
60歳・年間200万円・年金まで5年
では全く違います。
また単身世帯と夫婦世帯でも違います。
住宅ローン、教育費、退職金、iDeCoなどがあれば、さらに結果は変わります。
したがって、
「FIREには5,000万円必要」
ではなく、
「自分の条件なら5,000万円で何歳まで資産が持つのか」
を見る方が現実的です。
自分の場合を無料でシミュレーションする
当サイトでは「FIRE後の資産推移・取り崩しシミュレーター」を無料公開しています。
最初からすべて入力する必要はありません。
「30秒かんたん設定」で近い条件から始め、その後、
・年金
・資産
・生活費
・住宅
・子ども
・退職金
・暴落
などをご自身の条件へ変更できます。

今回と同じように、
「資産5,000万円なら何歳まで持つ?」
「生活費を50万円下げたら?」
「FIREを数年遅らせたら?」
といった比較もできます。
結論:5,000万円は大きな資産。でもFIRE可否は条件次第
5,000万円の4%は年間200万円です。
そのため年間生活費200万円前後なら、4%ルール上は一つの目安になります。
しかし今回の50歳夫婦・年間生活費300万円のモデルでは、
67歳9ヶ月で資金不足
という結果でした。
年間生活費を250万円に下げると、
87歳11ヶ月
まで大きく延びました。
つまり、FIREでは資産額だけでなく、
「何歳から」「年間いくら使い」「年金までどうつなぐか」
が非常に重要です。
5,000万円を目標にすること自体は分かりやすいですが、実際に会社を辞める前には、必ず自分自身の条件で生涯の資産推移を確認しておくことをおすすめします。
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参考資料
・William P. Bengen, “Determining Withdrawal Rates Using Historical Data”, Journal of Financial Planning
https://www.financialplanningassociation.org/learning/publications/journal/OCT94-determining-withdrawal-rates-using-historical-data
・Philip L. Cooley, Carl M. Hubbard, Daniel T. Walz, “Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable”
https://www.aaii.com/journal/article/retirement-savings-choosing-a-withdrawal-rate-that-is-sustainable
・日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html


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